なぜ煙草をやめるべきなのか?

煙草は嫌われものとなりました。昔はどこでも煙草を喫して煙を漂わせるのが普通の風景でした。今や店内全面禁煙の飲食店も珍しくない世の中です。愛煙家からは「差別的だ」という声すら上がっています。受動喫煙と言われていても、一部愛煙家は主張します。

 「ヘビースモーカーでも長生きをした人はいる」、「煙草を吸わないのに肺がんになった人を知っている」というのが愛煙家の理屈です。病気になるのは確率の問題であり、同じような生活習慣下でも病気になる人、ならない人がいます。統計で話をしなければ論にはなりません。喫煙習慣は健康に悪影響を与えることが多くの研究により明らかになっています。吸わないのが、喫煙者に近付かないのが健康にとって正しい態度です。

肺がんなど呼吸器系の病気だけを言っている人が多くいます。喫煙の悪影響は循環器系の病気に関係してきます。検査データ的にはどこも悪くないのに目まいがすると言いつつ煙草をやめない、というのは正しい態度でしょうか。吸いたい、精神衛生上の効果がある、といった理屈は通りません。やめられない、という習慣性がもっとも怖いところです。

生活習慣は健康に大きな影響があります。たくさん食べても、たくさん動けばエネルギーは消費されてメタボ体型にはなりにくい、という単純な摂理があります。しんどいことですが喫煙という習慣を捨てることが必要です。喫煙の害は禁煙後も20年ほど続くとか。習慣に慣らされてはいけません。

自分を、家族を、仲間を守るためにも禁煙すべきかと思います。周りも人間関係を恐れずに「私の前では吸わないでくれ」という勇気が必要でしょう。煙草だけではなく、糖尿病も似たところがあります。習慣を改めない内にあちこちが蝕まれ、やがて苦しくしんどい闘病生活に至ります。生活習慣こそ早期の手当てが必要なのです。

医療コンサルタント
(元大阪市立大学大学院特任教授)
松村眞吾